エコキュートの給湯温度設定で電気代を安く！節約につながる適温と仕組みを解説

エコキュートの電気代を節約したいなら、給湯温度の設定を最適化することが、一番効果的な方法です。たった1℃設定温度を変えるだけでも、年間の電気代が安くなる可能性があります。

電気代が高くなる主な原因は、お湯を沸かすために使う電力です。お湯をより高い温度に温めるほど、より多くの電力が必要になります。そのため、普段使わないほど高い温度に設定していると、その分ムダな電気代を払っていることになるのです。
例えば、冬場でもお風呂以外で45℃のお湯を使うことがほとんどない家庭では、給湯温度を50℃に設定してしまうと、使う直前に温度を下げるためのムダが発生します。思い切って42℃〜45℃に設定を見直すだけで、年間で数千円〜1万円程度の電気代を安くすることも夢ではありません。
この記事では、給湯温度と電気代の関係、節約できる適温、さらに「貯湯温度」と「給湯温度」の違いを知って効率的に運用する方法を、小学生でもわかるようにやさしく解説します。今日からできる設定を見直して、家計にやさしいエコキュート運用を始めましょう。

エコキュートの給湯温度と電気代の関係を理解しよう

エコキュートで電気代を節約するために、まず知っておきたいのは「給湯温度」と「電気代」がどのように関わっているかという点です。給湯温度とは、シャワーや台所の蛇口から出てくるお湯の温度のことです。

給湯温度を1℃下げるとどれくらい節約できる？

実は、給湯温度の設定を少し変えるだけでも、電気代にはっきりとした変化が現れます。

ポイント：
給湯温度を1℃下げるだけで、年間で約1,000円〜2,000円程度電気代を安くできる可能性があります。（※環境や使い方によります）

これは、エコキュートがお湯を沸かすために使うエネルギー量が、温度に比例して増えるからです。例えば、40℃のお湯を作るよりも、41℃のお湯を作る方が、ほんの少しではありますが、より多くの電気を使います。このわずかな違いが、一年間積み重なると無視できない金額になるのです。
もし、いつも使っている温度より高い温度に設定しているなら、そのムダになっている電気代を節約できるチャンスです。

温度設定を高くすると電気代が高くなる理由

エコキュートは、電気料金が安い夜間の時間帯に、必要な量のお湯をまとめて沸かし、タンクに貯めておく仕組みです。

温度設定を高くすると、次の二つの理由で電気代が上がってしまいます。

• 沸かす手間が増える： タンクのお湯を、例えば55℃まで温めるよりも、60℃まで温める方が、より長い時間電気を使って熱を加える必要があります。
• 熱が逃げやすくなる：タンクの中のお湯の温度が高いほど、外気温との差が大きくなります。この差が大きいと、タンクから自然に熱が逃げてしまう「熱ロス」も増えてしまいます。電気を使って沸かしたお湯が、使う前に冷めてしまうのは大変もったいないことです。

そのため、家族構成やお湯の使い方に合わせて、必要以上に高い温度に設定しないことが、節約の第一歩となります。

【節約の秘訣】エコキュートの給湯温度設定の基本と適温は？

給湯温度を下げて節約すると言っても、「快適なお湯が使えなくなったら困る」と考える人もいるでしょう。ここでは、快適性を保ちながら節約できる給湯温度の基本設定について解説します。

季節別・用途別！ おすすめの給湯温度設定

エコキュートは、多くの機種で37℃〜60℃の範囲で細かく温度設定が可能です。

一般的なご家庭での、おすすめの給湯温度設定を見てみましょう。

多くの場合、シャワーを浴びる際の40℃〜42℃を基準に、エコキュート本体の給湯温度を設定しておけば、ムダなく快適に使えます。

給湯温度が安定しないのはなぜ？原因と具体的な解決方法

設定した給湯温度通りにお湯が出ない、「熱すぎる」「ぬるい」といった温度の不安定さは、節約を考える以前に、日々の生活の快適さに大きく影響します。特に冬場は、この不安定さがストレスになることもあります。
給湯温度が安定しない主な原因は、エコキュート本体ではなく、お湯が蛇口に届くまでの仕組みにあることがほとんどです。

温度が安定しない二つの大きな原因

給湯温度が不安定になる主な原因と、その解決策を表で確認しましょう。

節約のために「給湯温度」設定を見直す際の注意点

給湯温度が不安定だからといって、エコキュート本体の設定温度を安易に高くしてしまうと、電気代のムダにつながります。

例えば、シャワーが40℃でぬるいと感じた場合、設定を60℃に上げれば確かに熱いお湯は出ますが、これはムダな電気代を払っていることになります。

設定温度は、あくまで「普段使いたい一番熱い温度」に合わせるのが基本です。

• シャワーの適温（42℃）を本体の給湯温度に設定する。
• 洗面所などで38℃のお湯を使いたいときは、混合水栓で水を追加して温度を下げる。

このように、「使う場所（蛇口）」で水と混ぜて温度を下げることを習慣にすれば、エコキュート本体で高温のお湯を作るムダをなくし、節約につながります。

貯湯温度と給湯温度の違いを知って効果的に節約する

エコキュートの温度設定には、「貯湯温度（ちょとうおんど）」と「給湯温度」の二種類があり、これを正しく理解することが節約の鍵となります。

貯湯温度は「熱いお湯の元」、給湯温度は「使う時の温度」

この二つの温度は役割が異なります。

• 貯湯温度： エコキュートのタンクの中に、夜間電力で沸かして貯めておく最も熱いお湯の温度です。（通常は65℃〜90℃前後）
• 給湯温度： 貯湯タンクから出た熱いお湯に、水を混ぜて温度を調整した、実際に蛇口から出てくるお湯の温度です。（通常は37℃〜60℃前後）

私たちは、シャワーを浴びるときに「給湯温度」を使っています。そして、エコキュートは、貯湯温度が高いほど、一度に使えるお湯の量（湯切れしにくい量）が増える仕組みになっています。

貯湯温度を下げすぎるとかえって損をするケース

「貯湯温度が高いと電気代が高くなる」と聞いて、設定を低くしすぎるのは注意が必要です。
貯湯温度を下げすぎると、次のような問題が起こり、かえって電気代が高くなることがあります。

基本的には、貯湯温度はメーカーの推奨する標準設定（例：65℃〜75℃）にしておき、季節や家族のお湯の使用量に合わせて「沸き上げ量」を調整する方が、効率的に節約できます。貯湯温度は、「湯切れを防ぐ」ためのものと考えると良いでしょう。

温度設定以外でエコキュートの電気代を節約するコツ
給湯温度の設定以外にも、日々の使い方を見直すだけで電気代を安くできる方法があります。

運転モードや沸き上げ時間を見直そう

エコキュートには、お湯の使用量を学習して自動で沸き上げ量を調整してくれる「おまかせモード」があります。

• 「おまかせモード」を活用する： 毎日のお湯の使用量が安定しているなら、このモードにお任せしましょう。ムダな沸き上げを防いでくれます。
• 「沸き上げ休止」機能を活用する： 長期間家を空ける（旅行など）場合は、沸き上げを休止する設定に必ず切り替えましょう。不在中に、必要のないお湯を沸かし続けるムダを完全に防げます。
• 「ピークカット」機能を活用する： 電気料金の単価が急激に高くなる時間帯（例えば、午後の数時間）がある場合は、その時間帯の沸き上げを停止する設定にすると、電気代を抑えることができます。

買い替えを検討するなら省エネ性能をチェック

古いエコキュートから新しい機種へ買い替える場合、給湯温度に関わる省エネ性能をチェックすると、長期的な節約につながります。
チェックすべきは、「年間給湯保温効率（JIS）」という数字です。

• この数字が大きいほど、少ない電気でお湯を沸かせる、つまり省エネ性能が高いことを示しています。
• 最新のエコキュートは、断熱性能や効率が良いヒートポンプ技術が進化しており、10年前の機種と比べて格段に電気代が安くなる可能性があります。

買い替えを検討する際は、この「年間給湯保温効率」を比較して、電気代を安くできる機種を選びましょう。

まとめ

この記事では、エコキュートの給湯温度設定が電気代に与える影響と、節約につながる具体的な方法を解説しました。

• 給湯温度の基本設定： シャワーなどの常用温度である40℃〜42℃を基準に設定し、必要以上に高い温度にしないことが節約の第一歩です。
• 温度が安定しない時の対策： 給湯温度がぬるいと感じたら、本体設定を上げる前に、蛇口（混合水栓）で水との混合量を見直すことが重要です。
• 貯湯温度との使い分け： 貯湯温度は「湯切れを防ぐ」ための温度です。下げすぎるとかえって昼間に再沸かししてしまい、電気代が高くなる危険があります。メーカーの標準設定にしておくのが安心です。
• 温度設定以外の節約： 長期不在時の「沸き上げ休止」機能や、最新機種の「年間給湯保温効率」をチェックすることで、電気代を安く抑えることができます。

今日からすぐにできる給湯温度の見直しで、快適性を保ちながら、無理なくエコキュートの電気代を節約しましょう。